星 の 王子 様。 星の王子さま

5分でわかる『星の王子さま』!本当に大切なものとは?王子さまは死んでしまったの?【あらすじと解説】

星 の 王子 様

『星の王子さま』きつねの名言 星の王子さまで 最も名言を発しているのは、意外にも地球のきつねです。 きつねと王子さまのやりとりはページ枚数にすると12枚程度なのですが、その中に『星の王子さま』のエッセンスが凝縮されています。 おれ、あんたと遊べないよ。 飼いならされちゃいないんだから この名言は悲しみにくれる王子さまが、地球のきつねに「遊んで欲しい」ときつねにお願いしたことに対する、きつねのセリフです。 「飼いならす」は一般的に考えると人間が動物に対して行う行動ですね。 「飼いならす」が何かわからない王子さまに対し、きつねは「仲良くなるってことさ」と返します。 人間対人間だと、これは「信頼関係を結んで仲よくなる」ということに変換できると思います。 キツネは、 仲良くなることでそこらじゅうにいる多数のきつねのうちの一匹から、かけがえのない関係に昇格するのだと言います。 我々人間の世界でも、入学、転校、入社、転職、合コンなど、一度に多くの人々と知り合いになる機会は多くあるでしょう。 しかし人間同士が知り合っただけでは何の信頼関係も生まれません。 おたがい仲良くなることで、互いにかけがえのない友人、恋人、同僚へと昇格していくわけです。 あんたが、あんたのバラの花をとても たいせつに思ってるのはね、その バラの花のために、時間を無駄にしたからだよ 王子さまは星に生息していた美しい花と喧嘩別れをして、星を出て行き地球へやってきます。 その花に対してはいろいろな世話をし、話をし、愛情まで感じていましたが、花の行動に不信感を感じて喧嘩別れしています。 地球で王子さまは、その花の種類がありふれたバラの花であることを知ります。 花の美しさと、その花がたったひとつだけの花であると思っていた王子さまは、それを知りショックを受けます。 しかしキツネから「仲良くなることで、かけがえのないものになる」ことを学んだ王子さまは、さきほど見たバラの花を見に行きます。 そうして 星に残した花はやはり王子さまにとって、たったひとつだけの花であることを発見するのです。 その原因をキツネは、そのバラの花のために時間を無駄にしたからだよ、と言うのでした。 時間を無駄にするとは、つまりは 些細なことやつまらないことであっても、同じ時間を共有して意思疎通を行う事であると思います。 人間も同じであり、美男美女がひとめぼれをする、させることはあるにしても、その関係性を長続きさせるには同じ時間の共有が必要です。 時間をかけることで水をあげた草木に花が咲くように、時間をかけて信頼関係を構築することで、お互いが大切な存在へとなるわけです。 こころでみなくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。 かんじんなことは、目に見えないんだよ これもキツネのセリフであり、 『星の王子さま』最高の名言であり、作者が『星の王子さま』で最も伝えたかったことでしょう。 王子さまが星においてきたバラの花が、自分にとって唯一無二の存在であることを理解した王子さまに、きつねは秘密を教えると言います。 その秘密が「こころでみなくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。 かんじんなことは、目に見えないんだよ」というセリフです。 バラの花を外見だけで美しく、たったひとつだけの花だと思い込んでいた王子さまですが、 本当にたいせつなのはその花との関係性でした。 目には見えない信頼関係を築き上げていた王子さまと花は、その花が他人からみればありふれたバラの花であったとしても、王子さまにとってはかけがいのないものとなっていたのです。 『星の王子さま』飛行士(ぼく)の名言 『星の王子さま』は王子さまが、星を巡り出会った人々や、地球での経験を元に成長していく物語です。 ですので、飛行士(ぼく=著者)の名言というのは少ないのですが、1つだけ紹介しておきます。 そうだよ、家でも星でも砂漠でも、その美しいところは目に見えないのさ 王子さまは星に残してきた花と信頼関係があり、たいせつな存在と考えています。 そらを見上げると、どこかの星にその花があるはずです。 ですので王子さまは、目には見えないけれどもその星が美しいと思えます。 一方、主人公のぼくは砂漠で墜落し、井戸を探しています。 砂漠が美しいと思えるのは、その砂漠の中に探し求めている井戸が隠されているからだと考えます。 そしてぼくの住んでいた古い家には、宝が埋められているという言い伝えがあり、そのおかげでその家は美しい魔法にかかっているように思われていたことを、思いだします。 この 王子さまとぼくの共通認識が「家でも星でも砂漠でも、その美しいところは目に見えないのさ」という発言に重みを持たせます。 我々の生活においても例えば、小学校の遠足や、旅行の前の高揚感、俗っぽいですが宝くじとかねw 恋愛とかもそうですね。 相手の性格が見えないけど、その長所に触れたときは宝物をみつけた感覚になりますよね。 あまり良い例が思いつきませんでしたが、 美しいけど目に見えないもの、皆さんで考えてみてください。 『星の王子さま』王子さまの名言 最後は王子さまの名言です。 王子さまは自分の星を出て、星を巡り、1年後に星へ帰っていきます。 その1年で多くのことを学ぶわけですが、その中でも特に印象に残る名言を3つ紹介します。 さがしているものは、たったひとつのバラの花のなかにだって、少しの水にだってある 「さがしているもの」は「人間が生き方を豊にするために探しているもの」と捉えてください。 王子さまは、星に残してきたバラの花が他のバラと違いたいせつなものであることに気づきました。 それに加え、飛行士(ぼく)と一緒に探した井戸の水もまた、バラの花と同じようにたいせつなものであることを認識します。 星を巡る中で、お金、名誉、権力、お酒、さまざまなものに拘るおとなたちを見てきましたが、 王子さまにとって大切なものは、花と王子さまの信頼関係、そしてぼくと王子さまの信頼関係であり、その象徴が井戸の水でした。 私たちの生活も仕事や勉強、大学、ブランド、お金、地位、名誉、さまざまなステータスが存在していますが、人生で あなたを本当に豊にしてくれるものは、そうした俗物的なものだけではなく、身近な信頼関係から生まれる出来事や、またその関係そのものなのかもしれません。 でも、人に感心されることが、なんで、そうおもしろいの? この名言は王子さまが「うぬぼれ男の星」へたどり着いたとき、王子さまが言ったセリフです。 うぬぼれ男は王子さまに拍手を強要するなど、自分のことをしきりに感心してもらいたがり、感心されると帽子を持ち上げながら丁寧にお辞儀をします。 丁寧にお辞儀をするのは面白いですが笑、王子さまは うぬぼれ男に対して「でも、人に感心されることが、なんで、そうおもしろいの?」と無邪気に応じます。 我々の社会でも、自慢話ばかりをして、精神的に優位になりたがる人っているじゃないですか?そしてそれを褒めると「いや、そんなこと無いよ~」とか言う人。 それは言ってみればこの「うぬぼれ男」が拍手を強要するのと同じことですよね。 サン=テグジュペリは、こうした うぬぼれ男に対し「感心されることがなんでそうおもしろいの?」と痛烈に批判しているのです。 だれかが、何百万もの星のどれかに咲いている、たった一輪のはながすきだったら、その人は、そのたくさんの星を眺めるだけで、幸せになれるんだ 王子さまに(紙に書いた)羊をあげた僕ですが、王子さまは羊が星にいる花を食べてしまわないかと、心配になるんですね。 でも、ぼくは飛行機の修理でそれどころではなく、王子さまを適当にあしらってしまうんです。 それに激怒した王子さまが言ったセリフの一部が、この名言です。 物語の最初の頃に王子さまが言った言葉なので、ぼくは理解ができません。 王子さまは星に花を残して地球に来ており、地球でその花のかけがえの無さを学びます。 そらに浮かぶ 星のどこかに花がいることを思うと、すべての星にその花が居るように思えて幸せになれる、という王子さまの考えがこの名言です。 読者も最初はこの名言の意味がわからないような構成になっていますが、物語を最後まで読めば、このセリフが深く理解できるようになるでしょう。 大切な人が学校にいたら、その学校へ行くことが楽しくなったり、苦労して手に入れたモノがあれば、それを眺めるだけで楽しい気分になったり。 現実世界でもそういうことありますよね? だからこそ 「たいせつなもの」を心に刻み込むことは、あなたの人生を豊かにしてくれることとなるのです。 『星の王子さま』の名言 さいごに いかがでしたでしょうか? 王子さまときつねの会話は物語中とても重要な位置を占めていますので、きつねの名言が多くなってしまいました。 作品を通じて作者は たいせつなものや美しいものは目に見えない、それらを得ようと思えば時間を共有してともだちになっていかなくちゃ。 そうして得たものは、たとえ本人がそこにいなくても、あなたの人生を豊かにしてくれるんだよ。 とう趣旨を読者に伝えたかったのだと思います。 興味を持たれたらぜひ一度、または再度、『星の王子さま』を読んでみてください。 サン=テグジュペリ『星の王子さま』を無料で読むには 『星の王子さま』は子供向けの作品であるかのように思えますがが、実は日々の生活に擦り切れてしまった大人にこそ読んでいただきたいと考えています。 人生で大切なものが何であるかという教訓がふんだんに散りばめられた良書であり、大人だからこそ気づけることも多いはずです(もちろん子供と一緒に読んでも良いでしょう)。 そんな『星の王子さま』を無料で読む方法があり、その方法は を利用することです。 『星の王子さま』はもちろんのこと、 やなど星の王子さまに関連した漫画本や解釈本も30日間無料で読むことが可能です。 また小説作品のみならずAmazon Kindle Unlimitedは200万冊以上の書籍、漫画、雑誌も無料となっており、雑誌はNewsweek日本版、NHKきょうの料理、ViVi、Tarzanなど有名雑誌、書籍もベストセラーとなったビジネス書を含む本が、スマホ・タブレット・パソコンなど媒体を問わず読むことができます。 30日以内に解約をすれば完全無料で利用できます(それ以降も月額980円)ので の利用をオススメします。

次の

星の王子様のあらすじまとめと解説

星 の 王子 様

2020年2月8日(土) 東京芸術劇場シアターイーストにおいて、 音楽劇『星の王子さま』が東京公演の初日を迎えた。 初日開幕直前に公開ゲネプロが行われ、王子さま役で主演の 昆夏美、飛行士役の 伊礼彼方、さらに脚本・演出の 青木豪からコメントが寄せられた。 2016年1月以来の再演となった本作だが、昆夏美を筆頭に高い歌唱力を誇るキャストたちが揃い、中でもメインは飛行士役の伊礼彼方は 廣川三憲と共に複数の多彩なキャラクターを演じ分けるなど、見どころも豊富な作品となっている。 舞台のピアノ演奏のほかに、薔薇の役も担うピアニスト 松木詩奈、 笠松泰洋作曲による音楽も素晴らしく、脚本・演出の青木豪によって音楽劇の形で創出された新たな『星の王子さま』の世界が再び東京と兵庫で展開される。 伊礼彼方 撮影:刑部アツシ 【脚本・演出:青木豪コメント】 4年前にこの音楽劇を初演して、多くのお客様からご好評をいただき、キャストスタッフ共に再演を望んできた作品です。 ようやく再演の運びとなり、たいへん嬉しく思っています。 名作というものは大抵どうしても解けない謎を孕んでいるもので、その謎は解けないことがわかっているのに、なぜかとても魅力的で、今回の稽古場でも台本を読み、原作のページをめくっては「実はこういう意味なんじゃないか」という議論を重ねました。 解答が出ることよりも、謎について皆で話し合うことが楽しく、それが「星の王子さま」が名作たる由縁なのではないか、とも思います。 初演より深化した音楽劇 『星の王子さま』をぜひお楽しみください。 【王子さま役:昆夏美コメント】 読む年代や環境によって感じ方が変わる書物はたくさんあると思いますが、「星の王子さま」は、その代表と言っても過言ではないと思います。 私は初演の際は作品をお客様に伝えることに必死でした。 今回は存分に話し合いながらお稽古をした再演です。 私が王子さまを演じるときに大事にしているのは「自分の大切な人や場所はなにか」ということを、作品を通してお客様に感じていただくこと。 そのために王子さまの旅の物語をきちんとお客様に伝えたい。 観終わったあと、自分にとって大切な人や場所に思いを馳せて、温かい気持ちになっていただけたらうれしいです。 【飛行士役ほか:伊礼彼方コメント】 穏やかで温かい時間が感じられ、終演するとまた作品に帰りたいと思わせる僕にとって特別な作品です。 大切なものを失うという経験をしたにもかかわらず、日常に戻ると飛行士は大切な人とギクシャクしてしまう、変われなくて譲れない、そうしたどうしようもないところがあるからこそ人間なのだと思わせる大人のための作品です。 稽古の際に初演では気づかなかった疑問に気づき、稽古場にいる全員で作品を深めたと思います。 音楽と作品世界を是非お楽しみください。

次の

星の王子さま (漫☆画太郎)

星 の 王子 様

N 僕は今までこの話を誰にもしたことがない。 それでも今回話すのは、もし彼が再び現れた時、真っ先に僕に知らせてほしいからだ。 N あれは6年前のこと。 飛行機の操縦士だった僕は、エンジンのトラブルでサハラ砂漠に不時着する羽目になった。 その時は乗客も整備士もいなかったし、人里からは千マイルも離れていた。 飲み水は1週間分しかない。 僕は1人でエンジンを修理しなければならなかった。 N 夜になり、僕は砂の上で眠りに付いた。 大海をいかだで漂流する遭難者よりも、自分ははるかに孤独なんじゃないかと思った。 王子 「ごめんください……ヒツジの絵をかいて!」 飛行士 「えっ?」 N 僕は、まるで雷に打たれたみたいに、びっくりして飛び起きた。 するとそこには、真剣な目で僕を見ている、まるで王子様のような姿の少年がいたんだ。 王子 「ぼくにヒツジの絵をかいて……」 飛行士 「え……? ……というか、いったい、君はここで何をしているの?」 王子 「お願い! ヒツジの絵を描いて」 飛行士 「僕が勉強してきたのは、地理と歴史と算数と文法だけだよ……絵は描けない」 王子 「そんなの平気。 ヒツジの絵を描いて」 飛行士 「僕に描ける絵なんて1つしかないよ」 N 人間ってやつは、驚きすぎると素直に受け入れてしまうものらしい。 僕は言われるがままに、紙とペンを取り出して殴り書きをした。 王子 「ちがうちがう! ヘビにのまれたゾウなんていらないよ」 飛行士 「え……?」 王子 「ヘビはすごく危険だし、ゾウはちょっと大きすぎる。 ほしいのはヒツジなの。 ヒツジの絵を描いて」 N そこで、僕は次々に描いてみせるのだが…… 王子 「ううん、このヒツジ、病気で弱ってる」 王子 「ねえ、これは普通のヒツジじゃなくて、オスのヒツジだよ。 ツノがあるでしょ」 王子 「年取りすぎてるよ。 僕、長生きするヒツジが欲しいんだ」 N 描いても描いても却下されてしまう。 こんなことよりも、早くエンジンを分解してみなくちゃならないというのに……。 いらだった僕は、四角い箱に穴の開いたものを適当に描いて、渡した。 飛行士 「ほら、箱を描いてあげたよ。 この中にヒツジはいる」 王子 「わあ! そうだよ、ぼくはこういうのがほしかったんだ!」 飛行士 「え、そんなのでいいの?」 王子 「うん! ……あ、ねえ、このヒツジ、草をいっぱい食べるかな?」 飛行士 「どうして?」 王子 「だって、ぼくんち、とっても小さいんだもん……」 飛行士 「はは、平気だよ。 その箱は小さいから、ヒツジもきっと小さい」 N こんな風にして僕は王子さまと知り合ったのだった。 翌日からは、飛行機の修理をしながら彼の話しを聞くという奇妙な日々が始まった。 王子 「ねえ、ここにある、このおきもの、なに?」 飛行士 「これはおきものじゃない。 飛ぶんだ。 飛行機さ、僕の飛行機」 王子 「えっ? 君、空から落ちてきたんだ!」 飛行士 「……うん」 王子 「ぷっ! あはは」 飛行士 「……(むっ)」 王子 「じゃあ、君も空から来たんだね。 どの星から?」 飛行士 「え? ……ってことは、君は……よその星から来たの?」 王子 「あ、そっか。 この飛行機だと、あんまり遠くからは来れないか……」 N それから3日が経ち、その王子様は色々なことを話してくれた。 彼が遠い星から来たこと。 その星は家1軒ほどの大きさしか無い、とても小さな小惑星だということ。 N そして5日目。 彼は、いきなりこんなことを聞いてきた。 どうやらそれは、ずっと黙って抱え込んでいた心配ごとのようだった。 王子 「……ねえ、ヒツジが小さな木を食べるって、本当?」 飛行士 「ん? ああ、本当だよ」 王子 「木を食べるんなら……花も食べちゃうのかな? 」 飛行士 「ヒツジは目の前にあるものなら何だって食っちまうよ」 王子 「トゲのある花でも?」 飛行士 「そう、トゲのある花でも」 王子 「……。 それじゃ、トゲは花にとって何の役に立つの?」 N 僕はそんなことは知らなかった。 その時の僕は、エンジンの固く締まりすぎたボルトをはずそうと、そのことで頭が一杯だった。 故障がとても深刻なものに思われて心配になっていたし、 飲み水がなくなるという最悪の事態を怖れていたんだ。 王子 「トゲって、花にとって何の役に立つのかな……?」 飛行士 「……ああ、もう! トゲなんて別に役に立たないんだよ。 きっと意地悪な花にはトゲができる、それだけなんだ!」 王子 「えっ!」 飛行士 「……」 王子 「そ、そんなの信じられないよ! 花はね、とっても無邪気なんだ。 でも花は弱いんだ。 きっとトゲがあれば自分は怖そうに見えるって、そう思いたいだけなんだ……!」 飛行士 「(とりあえず、ボルトをはずさないと……)」 王子 「でも、君は本当にそう思ってるの? 花のトゲが……」 飛行士 「……違う。 適当に答えたんだよ。 悪いけど、何も考えてない。 そんな事よりも僕は今、大事な事をやっている最中なんだ!」 王子 「だいじなこと……?」 飛行士 「(くそっ、なかなかはずれないな……)」 王子 「君は間違ってるよ! 大事なこともそうじゃないこともごちゃ混ぜにしてる!」 飛行士 「……。 えっ?」 王子 「何百万年も昔から、花はトゲをつけている。 何百万年も昔から、ヒツジはそれでも花を食べるんだ。 なんの役にも立たないトゲを、どうして花が苦労してまで作るのか、それを知りたいと思うのは、大事なことじゃないっていうの!?」 飛行士 「……」 王子 「ぼくはこの世で一輪だけの花を知っていて、それはぼくの星以外、どこにも咲いていないのに…… ちいさなヒツジがある朝、なんにも考えずにパクっと、その花を食べてしまうかもしれない……。 そう考えるのは大事な事じゃないの? 宇宙にたった一つしかない花を愛していたら、夜空をながめるだけでも幸せになれるんだよ。 『ぼくの花がどこかで咲いている』って思いながら。 でも、ヒツジが花を食べてしまったら、ぼくにとっては、全ての星が突然消えてしまうようなものなんだ! ……それが、大事じゃないっていうの!?」 飛行士 「……」 N それ以上、王子様は何も言えなくなった。 そして突然大声で泣きじゃくった。 僕は道具を手放した。 なんだか、どうでもよくなった。 エンジンのことも、ボルトのことも、喉の渇きも。 死ぬことさえも。 飛行士 「君が愛している花は、危ない目になんかあわないよ……。 僕が君のヒツジに、口輪(くちわ)を描いてあげる。 ……君の花には、身を守るものを描いてあげる……それから……」 N どう言っていいのか、僕にはよくわからなかった。 自分は、なんて不器用なんだろうとおもった。 少しの沈黙の後、王子さまは、その花についてポツリポツリと語り始めてくれた。 王子 「……あのね、昔、ぼくの星にね。 見たことのない花が芽を出したんだ」 N その花は、どこか違う星からタネの状態でやってきて、 そして咲くまでにとても時間がかかったそうだ。 おしゃれな花だったから、くしゃくしゃの姿では顔を出したくなかったんだ。 ゆっくりと時間をかけて、一枚一枚花びらを整えていった。 そしてある朝、まさに日の出とともに彼女は姿を現した。 バラ 「ふわあ……。 失礼、たった今目が覚めたところなの。 あら、まだ髪がくしゃくしゃね……」 王子 「わあ……! なんて綺麗なんだ」 バラ 「でしょう? 私はバラの花だもの。 それに、お日様と一緒に生まれてきたのよ」 王子 「綺麗だけど、性格はあんまり控えめじゃないんだな……」 バラ 「ねえ、そろそろ朝ごはんの時間じゃないかしら? 私にも何か用意してくださらない?」 王子 「う、うん。 じゃあお水をあげるよ。 えっと、じょうろは……」 N こうして王子様は、毎日彼女のお世話をするようになった。 その1本のバラの輝きと素敵な香りは、小さな王子様の星を、とても華やかなものにしてくれたそうだ。 N しかし彼女は、少し見栄っ張りな性格だったので、 しょっちゅう気難しいことを言っては彼を困らせてしまった。 バラ 「私にはトゲがあるから、ツメをたてたトラが来たって、平気なのよ」 王子 「トラなんて、ぼくの星にはいないよ? それにトラは草を食べないし……」 バラ 「私、草じゃありません!」 王子 「あ、ごめん……」 バラ 「トラはちっとも怖くないけれど、風がとても怖いの。 ついたてはないかしら?」 王子 「風が怖い……植物なのに風がきらいだなんて、気の毒に。 ついたてを持ってくればいいんだね」 バラ 「それとね、夜はガラスケースをかぶせてほしいの。 あなたのおうちってとても寒いわ。 きっと星の位置が悪いのね。 私が前にいたところは……」 王子 「え? 前にいたところって……ここで育ったのに……?」 バラ 「……お、おほん、おほん」 N 彼女は、つい無邪気にウソを言ってしまったことに気づいて咳払いをした。 はずかしくなったけど、おほんおほんとせきをして、王子様のせいにしようとした。 バラ 「ねえ、ついたては……?」 王子 「とりにいこうとしたら、きみがしゃべったんじゃないか……」 バラ 「さ、寒いわね……。 おほん、おほん」 N 毎日こんな調子だったから、王子様は少しずつ彼女のことが信じられなくなった。 大して意味のない言葉を真剣に受け止めて、その度にとてもつらくなった。 王子 「その時は、わかんなかった……。 あの子はね、あまのじゃくなだけだったんだ。 言葉よりも、してくれたことを見なくちゃいけなかった。 あの子は、ぼくを良い香りで包んでくれたし、ぼくの星を明るくしてくれたんだ」 王子 「でも、ぼくはあまりにも子供で、全然それが分からなかった。 少しずつ、花と一緒にいるのがつらくなって……ぼくは自分の星を出ることに決めたんだ」 N 王子様は渡り鳥を使って星を出ることにしたそうだ。 出発の朝、彼は自分の星をきれいに掃除して、花に最後の水をやった。 毎日決めてやっていたことだけど、この朝にはずっとずっと愛おしく思えた。 最後にもういちどだけ、花に水をやって、ガラスケースをかぶせようとしたとき、 彼はふいに泣きたくなってきた。 王子 「さよなら……」 バラ 「……」 王子 「……さよなら」 バラ 「……けほん」 N 花は咳き込んだ。 だがそれは、風邪を引いているから、というわけではなかったようだ。 バラ 「……私、バカね。 ごめんなさい。 ゆるしてね。 幸せでいてちょうだい」 N 彼は驚いた。 花が非難の言葉を、何一つ口にしなかったからだ。 ガラスケースをもったまま、おろおろとその場に立ちつくした。 どうして花が穏やかで優しいのか、分からなかった。 バラ 「……私ね、あなたのことが好きだったの」 王子 「……」 バラ 「知らなかったでしょ? あなたには、ちっとも伝わらなかった。 私のせいね。 ……どうでもいいか。 お幸せにね。 それと、そのガラスケースはほっておいて。 もう必要ないの」 王子 「でも風が……」 バラ 「風はたいしたことないわ。 ひんやりした夜風は体にいいし。 私、花だもの」 王子 「でも虫が……」 バラ 「毛虫の1ぴきや2ひき、がまんしなくちゃね。 ちょうちょとお友達になりたいもの。 とってもきれいなんでしょう? ……だって他に誰が訪ねてきてくれるかしら? あなたは遠くに行っちゃうし……」 王子 「……」 バラ 「大きな獣も全然怖くない。 私にはトゲがあるわ」 N 彼女の声は、静かで、穏やかだった。 王子様は、何もいえなかった。 ただ、涙だけが止められなかった。 バラ 「さあ、いつまでもそこでぐずぐずしないで。 行くと決めたんなら、もう行って!」 王子 「彼女は、泣くのを見られたくなかったんだと思う。 そういう花だったから」 N そして王子様は星を出て、6つの星を見て回った。 それらの星にいたのは……自分の体面を保つことに忙しい王様。 毎日酒を飲み、それを忘れるために酒を飲む酔っぱらい。 夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やす実業家。 星が1分ごとに自転するため、1分ごとに点火や消化を行っている点灯夫。 そして。 自分の机を離れたこともないという地理学者。 N 6番目に来た星は、前の星より10倍も大きかった。 学者 「これはこれは。 探検家じゃな。 いらっしゃい」 王子 「ここで何をしているのですか?」 学者 「わしは、地理学者じゃ」 王子 「なあに、地理学者っていうのは?」 学者 「海や川や町、それに山や砂漠がどこにあるのか、知っている学者のことじゃ」 王子 「へえ、おもしろそう」 N それから王子様は、その星をぐるりと見た。 こんなにも大きな星は、見たことがなかった。 王子 「とっても大きいですね、あなたの星は。 海はあるんですか?」 学者 「まったくもってわからん」 王子 「え? じゃあ町や川や砂漠は?」 学者 「それも、まったくもってわからん」 王子 「でも、学者なんでしょう?」 学者 「さよう。 だが、探検家ではない。 学者というのは、えらい人じゃからな、あるきまわったりはせん。 自分の机を離れないのじゃ。 そのかわり、探検家を迎えるのだ。 質問をし、探検家の話を書き取る。 ところで、君は遠くから来たんだな! 探検家だ! さあ、わしに、君の星のことをしゃべってくれんか?」 王子 「えっ? あ……ぼくのところは。 そんなに面白いところじゃなくて。 すべてが小さいんです」 学者 「ふむ」 王子 「……あ! でも、綺麗な花をひとつ持っています!」 学者 「わしらは、花については書きとめん」 王子 「どうしてですか? 一番綺麗なのに!」 学者 「なぜなら……花は儚いんじゃ」 王子 「『はかない』 ……?」 学者 「地理の本はな、決して時代遅れにならない、永遠のものだけを書き記す。 たとえば、山の位置が変わるなどということは、めったにあることではない」 王子 「で、その『はかない』ってなに?」 学者 「近いうちに消えるかもしれない、って意味じゃ。 花の命は短い」 王子 「ぼくのお花は、もうすぐ消えちゃうかもしれないの?」 学者 「かもしれん」 王子 「ぼくの花は、はかない……。 まわりからじぶんを守るのにたった4つのトゲだけ。 ……なのに、ぼくはたった一つ置き去りにしてきたんだ」 N 王子様は、ふいに、やめておけばよかった、と思った。 でも、気をとりなおして尋ねた。 王子 「これから行くのに、おすすめの星はありませんか?」 学者 「ちきゅうという星じゃ。 なかなか評判が良い」 N そして王子様はそこを出発した。 花のことを考えながら。 そういうわけで、7番目に訪れた星が地球だった。

次の