胆嚢 粘液 嚢腫。 胆嚢の疾患(胆泥症、胆嚢粘液嚢腫)

【胆嚢粘液嚢腫・胆泥症・胆石】調べると意外と多い胆道系の疾患。無症状でも治療は必要?

胆嚢 粘液 嚢腫

犬 14歳 メス フレンチブルドック 体重:8kg 飼育歴:13年8ヶ月 居住地:大阪府吹田市 飼育環境:室内 フレンチブルドック13歳、IBD で2日に1回のステロイド服薬中。 下痢が続いたため、サラゾピリン、タイラン等を約3週間服薬。 2 となり、入院はせずステロイドをエントコートを1日1回に変更し、ウルソ、スカパールを服薬中です。 胆嚢粘液嚢腫で、本来は切除が望ましいが、高齢と低タンパク、肝機能悪化で手術中に亡くなる可能性が高いだろうとの診察でした。 日中は若干呼吸が荒い程度なのですが、夜間から朝方にかけて眠れないようで、呼吸も荒く苦しそうに喘いでいます。 肝機能の急激な悪化が薬によるものならば、徐々に抜けていくため数値は改善されてくるものなのでしょうか? また、レントゲンとエコー画像検査から肝臓から胆嚢への流れが悪いため、改善されるようウルソ、スパカールを服薬しています。 もともと、胆嚢には胆泥が溜まっていましたが、治療する程ではないとのことで、未治療でした。 今後の予後が心配です、何が原因でこのようになったのでしょうか。 高齢のフレンチブルドックがIBDで治療中に下痢や嘔吐に加えて顕著な肝酵素異常が発現したとのこと,心配ですね。 1カ月前との検査を比較すると現在の状態は急性の肝障害と胆汁うっ滞が起こっている可能性があります。 ステロイドの投与は肝腫大や肝酵素の上昇を誘発しますが,急性の悪化となると胆嚢粘液嚢腫の悪化や膵炎の併発の有無をチェックする必要があります。 もし,肝酵素異常に加えて白血球数やCRPの上昇を伴っているようであれば,胆嚢粘液嚢腫の進行による胆嚢壁壊死および腹膜炎の併発が懸念されます。 胆嚢粘液嚢腫は通常は不可逆的な病態なのでウルソやスパカールなどの投薬での改善は期待できません。 胆嚢粘液嚢腫の唯一の治療は外科的治療なので,麻酔がかけられる状態でない場合はお手上げです。 また,フレンチブルドックのIBDは他の犬種よりも重症化しやすく,治療の反応や予後も悪い傾向があります。 さらにIBDの治療薬で最も効果のあるステロイドは,胆嚢粘液嚢腫の発現リスクを高めます。 IBDの治療を強化すれば,胆嚢粘液嚢腫を悪化させ,ゆるめればIBDが悪化し,治療は困難を極めます。 こういった症例において胆嚢粘液嚢腫が末期的で症状を発現しているのであれば,外科的治療を行うか,あきらめるのかの選択肢となります。 胆嚢粘液嚢腫の手術成績は,外科専門医でも周術期死亡率が2割前後と非常に高く, 高ビリルビン血症(黄疸)が発症してからの手術となるとさらに死亡率は高くなります。 本症例ではIBD,低アルブミン血症,高齢といった麻酔リスクを高める要因があり,手術となるとそれなりの覚悟が必要になるかと思います。 ただ,現在の症状がもし胆嚢粘液嚢腫の終末期であれば,手術以外に救命できないかもしれません。 肝酵素異常の原因が,胆嚢粘液嚢腫によるものかどうか,腹膜炎の併発があるのかないのか,主治医の先生にご確認頂き, 必要により二次診療機関でのセカンドオピニオンも相談されたら良いかと思います。

次の

日本犬に多い意外な病気。発見されにくい胆嚢のトラブルの予防、治療方法は?

胆嚢 粘液 嚢腫

こんにちは。 今回は胆嚢粘液嚢腫のご紹介です。 まず、かるくお勉強を。 胆嚢粘液嚢腫って何? 肝臓で生成された胆汁は胆嚢に一時貯蔵されます。 食事をとると胆嚢が収縮し、胆汁が十二指腸に放出されて脂肪分を分解します。 胆嚢粘液嚢腫とは、何らかの原因で胆嚢の中にゼリー状の粘液物質が貯留した状態をいいます。 胆汁の分泌を障害するために様々な消化器症状を引き起こし、 状態が進むと、黄疸や胆嚢破裂に伴う腹膜炎などの重篤な合併症を引き起こします。 何が原因? 原因は現在のところはっきりわかっていませんが、 濃縮胆汁や胆泥(胆汁が濃縮や変質により泥状になったもの 、 胆石(胆汁の成分が変質して結石状になったもの)などの刺激が引き金となり、 胆嚢壁での粘液の産生が過剰に起こると考えられています。 高脂血症を持っているワンちゃんに多く見られることが知られており、 遺伝的に脂質代謝異常の多いミニチュア・シュナウザーやシェットランド・シープドッグ などに多くみられます。 また、加齢に伴う胆嚢壁の構造の変化や胆嚢の運動性の低下も 原因ではないかと考えられています。 どんな症状? 軽度の場合には特に症状を示さず、 健康診断等で偶然発見されるケースも多く見られます。 胆汁の分泌障害が起こると、嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振などの 慢性的な消化器症状がみられ、肝障害を併発する場合もあります。 胆汁の流れが完全に遮断されると黄疸が起こり、 重症の場合には胆嚢が破裂し腹膜炎を起こすこともあります。 治療法は? 特に臨床症状を伴わない軽度の場合には、 内科療法と食事療法(低脂肪食など)で管理できる場合もありますが、 徐々に進行してくる可能性もあるため、定期的な検査による経過観察が必要です。 内科治療に反応が悪かったり、進行して臨床症状を伴っていたり、 胆嚢破裂など合併症の発症の危険性があるようなケースでは、 外科的に胆嚢を切除する手術を行います。 進行して状態が悪くなってからの手術はリスクが高く、 手術中や術後の死亡率が高いため、手術を行う時期については、 個々の状態を見ながら十分検討した上で決定する必要があります。 予防法はあるの? 高カロリー・高脂肪の食べ物をなるべく控え、 栄養バランスのとれた食生活を心掛けましょう。 早期発見・早期治療が重要な病気です。 高脂血症や胆泥症、胆石症など、 発症の引き金となるのではないかと考えられている疾患を予防し、 早期に発見するため、定期的な健康診断を受けましょう。 実際の手術画像です この子の場合、見てのとおりかなり黄疸が進行していて (切開して見えている脂肪が黄色い) 実は手術のタイミングとしてはかなり遅くなってしまい、 リスクの高い手術でした。 中央に見えている、緑色の物体が 胆嚢です。 周辺の赤いお肉のようなものは 肝臓です。 胆嚢はこのように、 肝臓の間に肝臓の表面に張り付いた状態 で収まっているので これから慎重に胆嚢と肝臓を剥離していきます。 その際、ちょっと間違うと大量出血してしまうため ボールチップ電気メスとガーゼ、綿棒を駆使して慎重に剥離していきます。 これは、すでに摘出したところです。 (摘出中の画像を期待した人、ごめんなさい) 慎重に剥離していき、総胆管から胆嚢への分岐部で結札して摘出します。 右手に持っているのが摘出した胆嚢です。 見てのとおり、 きちんと摘出すると胆嚢表面はツルツルな状態で取り出せます。 画像では、摘出後の微出血を ガーゼパッキング という手法で止血しているところです。 当院ではこの後、大網の一部をここに詰め込んで 大網と肝臓が癒着する事で永続的に止血できるようにします。 摘出した胆嚢を開けてみると・・・ このようなゼリー状の物質が充満していました。 これが胆嚢の中だけでなく、 総胆管や肝内胆管にも詰まってしまうと 閉塞性黄疸を発症してしまい 重篤な状態に陥ってしまいます。 今回のこの子はまさに閉塞性黄疸に陥り このままでは助からないというところまで病状が進行してしまい 一か八か、一縷の望みをかけて手術に踏み切りました。 結果、術後も一ヶ月近い入院治療が必要ではありましたが なんとか助かってくれて、今では元気いっぱいです。 ただ 本来ならそこまで酷くなる前に手術に踏み切るべき病気で 今回の状況での手術で助かったのは はっきり言って奇跡以外のなにものでもありません。 適切な時期の手術であれば7~10日程度の入院は必要にはなりますが 手術の成功率は格段に違います。 また、この病気の厄介なところは 普段よく行われている定期健診としての 血液検査だけでは発見できない事がある という事。 特に初期段階で、まだ症状を伴っていない場合 血液検査のデータ上では肝臓や胆嚢には全く異常が見られないのに エコー検査をしてみると胆泥が溜まっていたり すでに胆嚢粘液嚢腫を発症しているケースもあります。 なので本来なら、定期的な血液検査はもちろんですが 同時に人間ドックのように画像検査なども含めた全身状態の検査も しておいた方が良いのです。 投稿者: 博多北ハート動物病院.

次の

胆嚢の病気 その❶

胆嚢 粘液 嚢腫

検査 今回紹介するのは「胆嚢粘液嚢腫 たんのうねんえきのうしゅ 」という病気です。 なんだか難解な字面ですね。 胆のうは、消化液の一種である胆汁を貯めておく、ふくろ状の臓器です。 肝臓に埋もれるようにして位置しており、十二指腸につながっています。 肝臓で作られた胆汁は一度胆のうに入れられ、ゴハンを食べたときに十二指腸に排出されています。 胆嚢粘液嚢腫は、この胆のうの中で胆汁がゼリー状に固まってしまう病気です。 バイ菌のせいだとか、胆のうが出すネバネバ成分が多すぎるせいだとか言われていますが、正確な原因は今のところわかっていません。 では、どんな病気なのか、実際の症例を見ていきましょう。 症例は、ミニチュアダックスフントのレンくん。 8歳の男の子です。 夜中にゴハンを吐き戻し、胃が空っぽになった後も夜通し胃液を吐き続けたとのこと。 前日までは食欲も元気もあったのに、突然具合が悪くなってしまったようです。 病院に来たときはひとまず嘔吐は落ち着いているようでしたが、お腹に力をいれて背中を丸め、いかにも「きもちわる~い…おなかいた~い…」といった風情でした。 血液検査では白血球とCRP、そして肝酵素 GPT、ALP、GGT、GOT が高値を示していました。 とくにCRPは機械で数値が出せないほどの高値で、強い炎症や感染が疑われました。 続いて画像検査です。 エコーの検査を実施したところ、図のような所見が得られました。 肝臓に埋もれるようにしてある袋状の臓器…胆のうです。 が、パッと見るとどこがそうなのかわからないくらい、中身がつまっています。 胆嚢粘液嚢腫の診断は、このエコーの画像が決め手になります。 薬による治療もありますが、胆嚢粘液嚢腫の治療は基本的には手術です。 胆のうはあくまで、消化液を一時貯蔵するためのただの袋なので、取ってしまっても大丈夫なのです。 レンくんの飼い主さんは、薬による治療を選択されました。 来院時には嘔吐は落ち着いていたし、胆のうの病気に典型的な症状である黄疸も出ていないため、むやみにお腹を切らず、まずは薬で良くなるか試したいということでした。 治療 さて、入院してお薬と点滴で治療を始めたレン君。 残念ながら2日後、黄疸が出てきてしまいました。 目の方は写真だとよく分からないですが…実際にはパッと見てわかるほど黄色でした。 お腹はおしっこがついて黄色くなっています。 普通はこんなに濃い黄色ではないですね。 この時黄疸の数値であるビリルビンの値は8. 正常値は0. 5までです。 黄疸の有無は手術の成否に大きく影響します。 できれば黄疸がない時に手術をしたい…。 そこでもう2. 3日内科治療で様子を見ることにしました。 急性の黄疸は数日で落ち着くことも多いのです。 ですが、残念ながらその後もビリルビンの値は上がり続け、2日後には24. 9にまで上がってしまいました。 さすがにこれ以上は静観できません!半ば緊急的に手術となりました。 周りに脂肪などがたくさんくっついていますね…もしかしたら胆のうはすでに破れてしまっていたのかもしれません。 だとするとレン君はとてもラッキーです。 胆のうが破れると、最悪の場合、胆汁が腹腔内に漏れ出すことで重度の腹膜炎を起こします。 一気に具合が悪くなって急死…なんてことも珍しくないのです。 無事に取れました!右の写真が取った胆のうと、その中身です。 まるでかりんとうのように固まった胆汁が出てきました。 内部を開くと…ドロドロです。 ゼリーの中にかりんとうが浮かんだような状態でしょう。 詰まってしまって胆汁がうまく排出できなかったんですね。 その後はどんどん体調が良くなり、ごはんも良く食べ1週間後には退院となりました。 そして退院からさらに1週間後…傷のチェックと、いよいよ抜糸の日です。 傷の大きさからも、手術の負担がわかりますね…。 ですがとっても元気な姿を見せてくれました おかげで写真はブレブレだよレン君!。 傷も良好なためこの日に抜糸、治療はひと段落となりました。 肝臓の炎症が軽く残っていること、また胆汁をスムーズに流すためにお薬は続けてもらっていますが、もう大丈夫でしょう!! コメント さて、レン君は無事に治りましたが、みんながみんなうまくいくわけではありません。 胆嚢粘液嚢腫の怖い所は、「元気だったのに突然症状が出る、しかも致死的なほど強烈」という事です。 はじけたが最期の、まさにお腹に抱えた爆弾です!また、症状、特に黄疸が出ていると、手術の成功率がすごく落ちるのです。 レン君の治療もかなり綱渡りだったと言えます。 胆嚢粘液嚢腫、そしてその前段階と言える胆泥症は、犬では比較的ありふれた病気です。 しかし、見つけるのが早ければ、薬で改善させることも、万全の体調で手術をやってしまうこともできます。 特に具合が悪くなくても、中年を過ぎたら定期的な血液検査、異常があればエコーの検査も受けて、早期発見につとめましょう!.

次の